循環器内科

循環器内科

特色

循環器内科といえば、急性心筋梗塞や急性心不全に対する治療ばかりが大きく取り上げられますが、これらの急性疾患に至るまでに治療すべき疾患、すなわち高血圧、動脈硬化、糖尿病などのコントロールが重要です。さらに、不幸なことに心筋梗塞や心不全をきたし、急性期治療を終えたあと再発や再入院を以下に予防するかが最も重要になってきます。「人生100年時代」を考えたときに、健康で健やかに生活できる期間を延伸するために早期からのリスク因子の管理による発症予防、そして再発予防をすることが循環器内科の重要な役割です。

主な対象疾患

心不全

心不全とは「心臓が悪いために、息切れやむくみがおこり、だんだん悪くなって、命を縮める病気」と定義されています。車に例えれば、心臓はエンジンで、エンジンが悪くなっても、無理なことをしなければオーバーヒートしませんが、坂道を重い荷物を積んで上るとオーバーヒートしてしまいます。このような状況が急性心不全です。オーバーヒートするまではエンジンが悪いことには気づかないように、心不全は知らないうちに進行してしまいます。労作時の息切れ、睡眠中の急に苦しくなる、むくみ、手足の冷感などの症状があれば要注意です。

心不全

急性心不全をいったん発症すると坂道を転がるように悪くなり、死に至ります。(下図)

心不全の経過

まずは心不全を発症しないようにあらかじめご自分のリスクを知っておくことで、NT-Pro BNPあるはBNPという検査が有用です(下図)。
NT-Pro BNPが400pg/ml、BNPが100ng/ml 以上の場合には心不全のリスクが高いということで循環器内科を受診して精査する必要があります。また一旦発症しても、入院加療して、その後適正な薬物治療や生活指導、運動療法、栄養バランスなどの生活指導を受け、再入院を防ぎ、日常生活に支障なく生活できるようにお手伝いするのも循環器内科の役割です。

冠状動脈

不整脈

不整脈といっても細かく分ければ2000以上の種類があります。多くは特に加療の必要がないものですが、時には死にいたる、あるいは合併症を引き起こす場合もあり、治療が必要かどうかの判断が必要です。特に最近は高齢化に伴い心房細動という不整脈の発症頻度が増加しています。不整脈そのものはすぐに生命の危機となるわけではないのですが、心不全や脳梗塞などの合併症を引き起こす不整脈です。多くの場合は脈が速くなる動悸あるいは脈の間隔がいろいろで気持ち悪い、脈が遅すぎるという症状で気づく場合が多いのですが(図)、全く症状のない方もおられます。そして、心不全や脳梗塞の発症は症状のあるなしに関係ないのが厄介です。ただ、いろいろな治療が可能になって合併症の予防が可能になり、さらには完治することも可能になっています。

不整脈
虚血性心疾患

心臓は休むことなく動いているので、たくさんの栄養と酸素を必要とします。心臓に酸素や栄養を送っている血管が冠状動脈で、3本の血管があります。家の下水も長く使っていると、下水管にいろいろな泥がたまって、ながれにくくなるように、冠状動脈にも血液中の油や老廃物が蓄積されて血管が狭くなります。このような病気が動脈硬化です。動脈硬化で冠状動脈が詰まってしまう、あるいは流れにくくなると心臓の筋肉が腐ったり、栄養不足になったりします。このような病気が急性冠症候群といわれ、急性心筋梗塞などが含まれます。急性冠症候群は死に至る疾患なのですぐに対処が必要です。血管造影で、狭いあるいはつまっている場所をフーセンや網目状の管(ステント)で広げることで、血液を流すことができれば、元の生活に戻れることが多いので、おかしいと思ったら救急車で対処可能な病院に行くことです。また、血管が詰まったり、つまりそうにならなくても、次第に狭くなって、じっとしているときには十分に流れていても、階段を上ったり、急ぎ足で歩いたりして心臓が一生懸命動くようになると栄養不足になって胸が痛くなるような病気があります。これが狭心症です。狭心症も適切な治療をすれば、不安なく生活できるようになる病気です。

虚血性心疾患
弁膜症

心臓の中には血液を一定方向に流すために、各部屋の入口や出口に一方弁がついています。特に全身に栄養を送るポンプの役目を果たしている左心室の入り口には僧帽弁、出口には大動脈弁があり、必要に応じて開いたり閉じたりして、全身の循環を維持しています。この弁のしまりが悪くなるあるいは、開きにくくなると血液の流れが障害されて、心不全の症状が出てきます。心臓の音を聞くだけで病気かどうかわかるのですが、詳しくは心臓超音波での検査でわかります。

高血圧

高血圧症と診断される人は成人の半数といわれています。おそらく健康診断で高血圧といわれた方は多いと思います。ただ、高血圧は残念ながら自覚症状がないのです。なぜ、残念かというと症状がないので病気と自覚する人が少なく、突然脳卒中や急性心筋梗塞、心不全、あるいは気づいたときには腎不全になってしまう病気なのです。高い血圧にさらされているが自覚がないことで、血管がいたみ、いろいろな臓器が障害されて初めて気づくのでサイレントキラー(忍び寄る殺し屋)と呼ばれる所以です。早いうちから生活習慣の改善と必要な薬物治療を行えば、多くの合併症を防ぎ健康な生活が可能となる病気です。

高血圧
脂質異常症

聞きなれない病気ですが、「コレステロールが高い」などいわれたことがあると思います。血液を流れる油は脂質と呼ばれ、コレステロールが代表ですが、それ以外にも多くの種類があり、それぞれに名前が付けられています。各成分の異常がある場合に脂質異常症と呼ばれるのです。なぜ、これが重要かというと、高血圧と同様に血管を傷つけて動脈硬化という病気を引き起こすのです。動脈は体のすべての臓器に栄養を送っている血管なので、その障害は同時に臓器障害につながるのです。結果として、脳梗塞、心筋梗塞、など生命と直結あるいは健康障害を引き起こすことになります。生活習慣を改善、あるいは薬物治療で健康寿命を延ばすことができます。

脂質異常症

患者さんへ

歩くとしんどい、胸が痛い、動悸がする、むくみがあるといった症状は、どなたでもあるかもしれません。ただ、それが病気によるものなのか?それとも年齢や気分的なものなのかは、分かりません。放っておかずに、まずは診察を受けてみることが大切です。また、高血圧や脂質異常症は自覚症状がなくても重大な病気になってしまうことがあります。お医者さんに行くとすぐに薬を処方されるからと言って病院に行かずにいると大変なことになります。血圧がたかいから、コレステロールが高いからと言ってすぐに薬を投与することはありません。まず、正確に診断すること、そして生活を見直すことから指導します。ただ、決して治る病気ではないので末永く付き合ってゆく必要があります。
人生が80年の時代から100年の時代になって、どのように人生設計を考えるかがこれから重要です。健康こそ宝なので、それを大切にするためにどうすればよいか一緒に考えるきっかけに循環器内科を受診していただければ幸いです。

ご紹介いただく先生に

循環器疾患は、救急医療を必要とすると考えられる先生が多いと思います。当院は循環器救急には対応できませんが、発症に至る前の診断や検査、および必要な治療を提供できる施設です。また、急性期治療を終えて地域に戻ってこられた方の様々な問題にも対処することができます。高齢者が多くなる時代に地域で慢性の循環器疾患を見守る必要があり、当院の循環器では、リハビリを含め様々な地域の先生方にお役に立てると考えています。何かお困りのことがあれば、気軽にご紹介いただければ幸いです。

担当医紹介

役職 氏名 学会認定、資格等
顧問 平山 篤志 日本内科学会認定内科医/総合内科専門医/指導医
日本循環器学会認定循環器専門医

外来担当表

午前 平 山 平 山
午後 平 山